三途の川のお茶屋さん


「はい、一昨日くらいまでは団体のお客様で本当に大変な盛況だったんですが、昨日はほとんどいらっしゃいませんでした。大分、落ち着いてきたようです」

「そうでしたか、それはお疲れ様でした。……今は、店内にお客はいないようですね」

その人は十夜の元に向かおうとはせず、店内を見渡していた。

「あ、そうですね。通常の営業だと、わりと開店直後はこんな感じです。団体のお客様は昨日で一区切りかもしれません」

そうして一通り店内を見回した後、ゆっくりと私に向き直る。

「ご挨拶が遅くなって申し訳ありません。私は十夜と同じ七天神で、各所の管理者の統括役もしております、仁王と申します。あの、もしよかったら店内で待たせていただいてもよろしいでしょうか?」

「! 十夜がお世話になっています!」

なんと、この人が、お酒好きの統括役。実際に会うのは初めてだけれど、話には聞き及んでいる。



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