三途の川のお茶屋さん


「きゅーん、きゅーん」

「ふふふっ、可愛い」

コマちゃんは、そのガタイからは結び付かない甘えた声で鳴き、物凄く懐っこかった。

けれど何故か、仁王さんは岩のように固まって、私とコマちゃんを見つめていた。

「すいません。ついつい可愛くって。すぐにお茶、お持ちします」

一通りコマちゃんを撫で回したところで、私はやっと手を引いて、足早に厨房に向かった。



!!
厨房から戻ると、コマちゃんが仁王さんの膝抱っこで喉を鳴らしていた。

小型犬ならさもありなん。けれどコマちゃんは大型犬。大型犬のコマちゃんを満面の笑みで膝抱っこする仁王さんの姿は、ちょっと衝撃だった。

「きゅーん!」

私に気付いたコマちゃんが一声嘶く。



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