三途の川のお茶屋さん
立ち尽くしていた私はハッとして、テーブルに煎茶と団子を置いた。
「すいません、お待たせしました。どうぞお上がり下さい」
するとコマちゃんはすぐに、きな粉の団子に鼻先を寄せた。
「きゅんっ、きゅんっ」
「コマ、ちょっと待って下さいね? 幸子さん、さっそくいただきます」
「はいどうぞ」
他にお客様もいなかったので、私も仁王さんの向かいに腰掛ける。
仁王さんはコマちゃんの頭を撫でると、きな粉の団子に手を伸ばした。団子を皿に置くと菓子箸を使って、器用に団子を串から外す。
そうして外した団子の一玉を菓子箸に刺すと、コマちゃんの口元に寄せた。
「ほら、コマ」
「きゅーんっ!」
団子はパクッと、コマちゃんの口内に消えた。