三途の川のお茶屋さん
「コマ、美味しいですか?」
「きゅーんっ」
コマちゃんはご満悦に嘶いた。
「そうですか。では私もいただきます」
えっ!?
仁王さんはコマちゃんにあげたのと同じ菓子箸で外した団子の一玉を頬張った。
「本当だ、とても美味しいです」
「お、お口に合ったようでよかったです」
私は内心、仁王さんの愛犬家っぷりに驚嘆していた。
「きゅーん」
仁王さんの袖を引き、コマちゃんが強請るように鳴いた。
「もっとですか? はい、どうぞ」
どうやら仁王さんは、愛犬のコマちゃんと同じ箸で食べる事に、まるで抵抗がないらしい。
仁王さんは再び、同じ菓子箸でコマちゃんに団子をあーんした。
そうして仁王さんとコマちゃんは仲睦まじく、同じ菓子箸で全部の団子を分け合った。
「よかったらおかわりをお持ちしましょうか?」