三途の川のお茶屋さん
「閻魔帳は天界でも、関係部署の限られた者にしか閲覧を許可していません。当然その持ち出しは、全てログを取って管理をしている。十夜は気付かれぬと踏んだのでしょうが、少し調べればすぐに、十夜が不当に閻魔帳を呼び寄せた事は知れました。これは私が告発すれば、懲罰に相当します」
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懲罰という禍々しい単語に、身の毛がよだった。
「あぁ、そんなに硬くならないで下さい。告発が目的なら、とっくに告発をしています」
私の不安を酌んだのだろう、仁王さんは苦笑して告発を否定した。
「あ……、そうですか」
十夜の断罪が目的でないと知り、ホッと安堵の息を吐いた。
とはいえ、私にこれを告げる仁王さんの真意が掴めない。
私という異分子は、二十年静観されていた。だからあと十年も、変わらずに静観されるのだろうと考えていた。