三途の川のお茶屋さん


喉がカラカラに乾く。ゴクリと空唾を呑み込んで、誤魔化した。

「端的に言います。悟志という者は、先ごろ鬼籍に名を連ねています」

聞いた瞬間、全ての感覚が遠くなった。



視界が灰色に塗られ、目の前の仁王さんの姿が霞む。仁王さんは必死に何事か問いかけているようだったけれど、その声も私の耳には遠く、届かない。

ぐらぐらと揺れているのは、私の思考なのか、体なのか……。灰色にとぐろを巻く闇が、私を包む。

灰色の闇の奥には、顔を見る事の叶わなかった男性の姿がある。

後姿しか見ていないのに、好感が持てた。どこか、郷愁を覚えた。

漏れ聞こえた生前の境遇も、悟志さんのそれに近かった。

なにより、私の心に明光となって差し込んだ、あの言葉! あれは他でない、悟志さん自身の言葉……!!





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