三途の川のお茶屋さん


見れば私の足に、コマちゃんがスリスリと擦り寄っていた。

「きゅん、きゅーん」

私を見上げるつぶらな瞳に誘われるように、ひと撫で、ふた撫でと、柔らかなコマちゃんの頭に手を滑らせる。

頭頂のふわふわとした毛は柔らかな感触を、側頭部のもくもくの渦巻きは優しい温もりを伝えてくる。私の荒ぶる心を静め、慰めて落ち着ける。

コマちゃんを撫でながら、どのくらいの間を置いたのかは分からない。十分か、二十分か、あるいはほんの一~二分であったのかもしれない。

「きゅーん?」
「コマちゃん、心配してくれてるの? ありがとう」

コマちゃんのおかげで、少なくとも表面上、平静を保てる程度には冷静になれた。

「仁王さん、……私にそれを告げる仁王さんの真意はなんでしょう?」

私は絞り出すような声で、仁王さんに問うていた。



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