三途の川のお茶屋さん
「幸子さん、私は貴方と十夜があやふやな関係のまま、この地にある事が不安なのです。貴方の存在が知れ渡れば、必ず諍いの種になる。貴方を狙う男神が、波乱を起こす。そんな事態は目に見えている」
? 私を、男神が狙う?
「あの、仁王さん、仰っている意味がよく分かりません」
「貴方の存在に感しては、私如きが言及してよいものか悩ましいのです……。とにかく、ここを出て中央の保護管理下に入る。あるいは、貴方と十夜が真に番い、夫婦となってしまうのも解決のひとつです。そうすれば虎視眈々と貴方を狙う男神も、あきらめざるを得ません」
やはり、仁王さんの言葉はよく、分からなかった。
「混乱、させてしまいましたよね。今すぐに結論を出す事は難しいかもしれません。けれど悟志という貴方の婚約者が、既に鬼籍に入っている事は事実です。だから、貴方の待つ十年という月日に意味はないのです。それを踏まえて、じっくりと、しかし早急に結論を出して欲しい。これを伝えたくて、私は今日、ここに来たのですから」