三途の川のお茶屋さん


ともあれ、女子高生の勢いは凄まじい。

そのパワーが、僅かにでも気を抜けば闇に引き摺られそうな私の意識を、現実に留め置く。今というこの瞬間に、集中させる。

……あ、仁王さん達は……。

慌てて戸口に視線をやれば、いつの間にか戸口はピタリと閉まっており、仁王さんとコマちゃんの姿は既になかった。

「ねーオバサン、団子まだぁ?」
「あ! はぁい、すぐにお持ちします」

急かされるまま厨房に向かい、注文品の団子特盛を手に戻ってくれば、女子高生はピタリと足を閉じてお行儀よく座って待っていた。

……なんだかんだで、素直ではあるんだよね。

「なにこの団子、チョーウマイんだけど!?」

女子高生は目の前の特盛の団子を、目を丸くして頬張った。

「おかわりもあるから、ゆっくり食べて」
「え! マジで~!?」

女子高生は、一人で三人前を平らげ、三人分の姦しさだ。



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