三途の川のお茶屋さん
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「幸子ー? 帰れるか?」
最後のお客様と入れ替わるように、十夜が顔を出した。
結局、船の修繕に一日がかりとなった十夜は、パッと見にもげっそりと疲れ果てていた。
「お疲れ様でした。随分と損傷が大きかったんですね?」
十夜は手近な椅子を引くと、ドサリと腰掛けた。
「ああ、船底がざっくりとやられていた。なんとか今日中に終わらせられた。まったく、肉体労働は肌に合わん」
「ふふふっ。十夜ってば、この間は『頭脳労働は性に合わん』って言ってましたよ」
「……そうだったか?」
十夜はバツが悪そうに、苦笑してみせた。
接客と同時進行でほとんど後片付けは済んでいたのだが、私は気にせずに厨房で二人分のお茶を淹れた。
そうして残りの団子を皿にのせ、お茶と一緒に十夜に差し出した。