三途の川のお茶屋さん
「? 後片付け、済んでいたんだろうに」
「たまにはいいじゃないですか。店でお茶を飲んで、少し一服してから帰りませんか?」
この段になっても、今日の一件を十夜にどう説明するか、どう伝えるか、……いまだ私の中で決めきれていなかった。
「いいな、ちょっと一息吐きたいところだったんだ。今日は昼飯も食ってなかったからな」
!
「十夜、それなら甘いのだけじゃなくて何か出しましょうか?」
甘党の十夜は普段、お団子といったらきな粉とあんこだ。今も皿の上にはきな粉とあんこのお団子がのっている。
けれどお昼を食べていないなら、あり合わせで食事になるような物を出した方がいいかもしれない。
けれど十夜が、立ち上がりかけた私の腕をそっと掴んで引き留めた。
「幸子、これで十分だ。せっかくのお茶を温かい内に一緒に飲もう。その方がずっといい」