三途の川のお茶屋さん
夕食を済ませ、重労働に疲れた十夜を先にお風呂に入れた。
十夜の後に湯を使い、寝室に上がろうとして、居間から漏れる明かりに気付いた。
「十夜……」
扉から覗き見れば、先にお湯を使った十夜が、寝室に上がらずにソファで船を漕いでいた。
騒ぐ鼓動を落ち着かせるように、ホゥっと大きく一息ついた。
「十夜、寝室で寝て下さい? ソファじゃ疲れが取れませんよ?」
扉から、声を掛けた。
「ん? 幸子か。分かってる……」
けれど十夜は返事ばかりで、一向に動く気配がない。
私は仕方なく扉を潜り、十夜の元に向かった。
「もぅ……十夜、ほぉら」
私は十夜の手をグッと引いて、ソファから重たい腰を上げさせた。