三途の川のお茶屋さん
とても、不思議な心地がした。
浴室で私は、悟志さんへの懺悔に涙した。
見送れなかった事を謝った。悟志さんだけを愛し続けられなかった事を謝った。移り気に十夜を想う、私の不義理を謝った。
だけど今、十夜を愛する想いが心にストンと落ちて、静かに胸に居場所をつくる。
「……悟志さん、貴方が大好きでした。だけど今、私は再び大好きと思える人に出会いました」
十夜への愛が、赦されていくようだった。
悟志さんと愛し合った日々を蔑ろにするんじゃない。悟志さんと愛し合った記憶と共に、新たな愛が芽吹く。
「新しい私の恋を、胸に同居させてもらいますね?」
悟志さんと育んだ、愛の記憶が思い出された。悟志さんと紡いだ愛は、互いの幸福を一番に願う優しさと慈しみに満ちた愛だった。