三途の川のお茶屋さん
「私は、十夜が懇意にしている女性に着物を贈るんだと、そう早とちりをしたんです」
告げた瞬間、十夜の瞳の奥が紫色に煌く。
色眼鏡に濁った私の瞳とは対照的に、十夜の瞳はどこまでも澄み切って綺麗だった。
「私は醜い嫉妬で、あんな態度を取っしまったんです」
なんて愚かな勘違いを、したんだろう。
なんて馬鹿な八つ当たりを、したんだろう。
どうして冷静になって、十夜に尋ねる事が出来なかったんだろう。
「十夜、あんな態度を取ってしまって、本当にごめんなさい」
十夜から視線を逸らさずに告げた。せめて包み隠さずに、正直な心を伝えた。
十夜は呆気にとられたような表情で、私を見つめていた。
「幸子……」
裁きを待つような緊張感で、私は身を縮めて続く十夜の言葉を待った。
「幸子!」