三途の川のお茶屋さん
「っ、十夜!?」
けれど言葉よりも先、息詰まる強さで、十夜の腕が私をきつく抱き締めた。
間近に私を覗き込む十夜の瞳に、激情の焔を見た気がした。
「今の嫉妬というのは、少なからず俺という男に情を持っているのだと、そう思っていいのか!?」
心を伝える事に、迷いはなかった。
「十夜を想うから、嫉妬をしました」
十夜は目を瞠り、固唾を呑んで私の言葉を聞いていた。
想いは言葉にしなければ、伝わらない。
言葉を呑み込んだ事で、私は愚かな勘違いを正せぬまま、十夜を深く傷つけた。
「十夜が想いを通わせる女性がいるかもしれないと思えば、とても平常心ではいられませんでした。それで思わず、あんな態度をっ……」