三途の川のお茶屋さん
「幸子、ならば俺は嬉しい! 幸子が俺に嫉妬してくれて、嬉しいぞ!」
!!
私の手を、十夜が両手で握り込む。
「十夜……? こんな短慮をして、十夜に触るなだなんて……ほんとに私、後悔して、本気で消えてしまいたいって思いました」
どれだけ寛容に、どこまで寛大に十夜は私を受け入れるのか。
「俺が構わんのだから、後悔など不要だ。その代わり、消えるなんて許さない。幸子はここに、いればいい! 俺の隣に、いればいい!」
!!
十夜への愛しさが、迸る。
十夜のくれる一言一句、その全てが私への慈愛に満ちている。
「十夜! 私を十夜の隣に、いさせて下さい!」
「幸子!」
想いは堰切って、奔流みたいに溢れ出る。
苦しいくらいの抱擁に、全身に熱が巡る。
私と十夜は微笑み合い、愛しさを分け合うように固く抱き合った。