三途の川のお茶屋さん
「ん? ほら」
十夜が一玉目の団子を咀嚼しながら、三玉残る串を私に差し出した。
私は躊躇なく、十夜の手から二玉目の団子を食べた。
こんなふうに強請り、ひとつ串の団子を十夜と分け合って食べるのは初めての事だった。
「美味しいですね」
「あ、あんこも食うか?」
少し弾んだ声をして、十夜は包みからあんこの団子を取り出した。
「いただきます」
そうして一玉目を私が齧る。そのまま十夜が二玉目を齧った。
同じ時間を共有して、同じ物を口にする。
それはなんて親密な行為だろう。
抱き合うに勝るとも劣らない温かさが胸を満たした。
「とはいえ十夜はずっとお団子で、飽きちゃいませんか?」