三途の川のお茶屋さん
「……言ったろう? 俺は団子なら、毎日でも食える」
もしかして十夜は、覚えている!?
バッと仰ぎ見た十夜は、最後の一玉を幸せそうに噛みしめていた。けれど十夜の表情から、それ以上を読み解く事は出来なかった。
「さ、今度は帰って晩飯だな。今晩は何だ?」
そうして食べ終えて手が空いた十夜は、当たり前のように私の手を握り締めた。
伝わる温もりに、一層愛おしさが募った。
「煮魚を用意してます」
「……煮魚か」
十夜の反応に、苦笑が漏れる。
煮魚を前に、いや、魚全般を前にして十夜の箸は進みが鈍い。だけどそれは、嫌いだからじゃないのを、私はちゃんと知っている。
「ふふふっ。十夜の分、私が骨と皮を取って身をよけてあげますから」