三途の川のお茶屋さん
埠頭と『ほほえみ茶屋』は目と鼻の先だ。
何かあれば懸人が駆け付け、俺へも報せを寄越す。
「仕方ない。早々に修繕を始めるか……」
俺は特大のため息を吐くと、まずは広範囲に渡る亀裂の確認をし始めた。
そうして詳細の確認が済むと、施工業者へ連絡し、およその見積もりを取り、修理の日程を調整した。同時に必要な部分には神通力で補強を施し、最低限の強度を保たせる。
「全く、本来、こんな肉体労働は俺の領分じゃないというのに」
三途の川の管理者の実体は、管理者とは名ばかりの何でも屋だ。
結局全ての補強を終えたのは、昼も回ってからだった。
俺は、足早に『ほほえみ茶屋』へ取って返した。けれど『ほほえみ茶屋』を目前に、俺は違和感に首を捻った。