三途の川のお茶屋さん


俺はそれなりの神通力を自負している。その神通力を、こんなにも研ぎ澄ませた事は無い。幸子の気配を求め、全神経を集中させた。

断言できる、幸子は三途の川にはいない!

「仁王様、そちらに神威様はおられますか?」
「あぁ、今は祈りの間におられる」

管理者の責任は重々承知している。けれどこのままここで手をこ招いていても、幸子の手掛かりは掴めない。

「仁王様、こちらは万事つつがなく全員を乗船させる手筈ができております。俺は今から、そちらに向かいます。どうしても神威様に、直接伺いたい。俺は今から、天界に向かいます」

ここにいては、現状は打破できない。

幸子の行方は、追えない!



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