三途の川のお茶屋さん
「十夜、本来なら緊急事態の三途の川を管理者が不在にするなど容認できる事ではない。けれどお前は、止めても来るのであろうよ」
「申し訳ありません。ご迷惑を、おかけいたします」
「はははっ、今に始まった事ではなかろう。十夜、其方が三途の川の管理者の役職に就き、私が統括せねばならんとなった時に、とうに腹は括っていたさ」
頭が下がる思いだった。
「仁王様、また後ほど、お会いする事になるかと思います。一旦これで、失礼いたします」
仁王様との通信を切ると、俺は天界に向かって駆けた。
「幸子……、どうか、どうか無事でいてくれ!」
神の身でありながら、慢心した己を呪う。そうして祈らずにはいられない。