三途の川のお茶屋さん
懸人さんの目は、私を見ているようでいて、私じゃない何かを見てる。
懸人さんの手が、私の両手を後ろ手に回し、乱暴に纏めて掴む。
私は必死で振り解こうと、渾身の力を篭めるのに、懸人さんはびくともしない。
「っ、やめてっ!」
直面する暴力に、意思とは無関係に体が震えた。
それくらい懸人さんは常軌を逸して見えた。
「そうして長い時を経てやっとお前は現れて、なのにどうしてお前は再び神として君臨しようとするんだ? どこまでお前は私を貶めれば気が済むんだ?」
「やっ、やだっ!! 放して下さい!」
懸人さんは、私の抵抗を物ともしない。
私は容赦なく懸人さんに引き摺られ、店から船乗り場へと連行されていた。
「いやっ、船には乗りません! 船に、乗せないでっ!! お願い! お願い!!」