三途の川のお茶屋さん
オールで強打された懸人さんは、血を噴出させながら船縁に倒れ込んだ。けれど懸人さんはよろめきながらも鬼気迫った様相で身を起こし、反撃に打って出ようとする。
「っ、タツ江!? 何故、お前が私の邪魔をする!?」
けれど懸人さんが掴もうとしたオールを、寸前でタツ江さんが足蹴にして弾き飛ばす。
タツ江さんは、懸人さん目掛け何度もオールを振り下ろした。
「ッッ!! ァ、グアッッ!」
タツ江さんは血を流し、力なく船縁に沈んだ懸人さんを掴むと、渾身の力で船外に押しやろうとする。
「タ、……タツ江? っ、タツ江、やめろ? 何を、しているっ!?」
懸人さんは必死に船縁を掴んで最後の抵抗する。
「懸人、あたしは決めていたんだよ、今度あんたが道を違えるなら何としても、次こそはあたしが止めてやろうってね。だってさ、あたしとあんたの仲じゃないか。子供ながらに、だけど真剣な想いでもって将来を誓い合ったじゃないか。あんたはもう、忘れちまったかい?」