三途の川のお茶屋さん
最終章
1
***
天界に着くと、俺は祈りの間に駆けた。
「神威様、失礼いたします!」
逸る心のまま、挨拶とほとんど同時に重厚な両開きの扉を開け放つ。
「十夜、ようやっと来よったか」
神威様は俺の来訪を、待ち構えていたようだった。
「これを見よ」
俺を振り返り、神威様が手招く。
疑問に思いながらも神威様の身許に寄り、示されるままにその手元を覗き込む。
神威様の手のひらに置かれていたのは、歴代の大天神が脈々と繋いできた宝珠だった。
「神威様!!」
その宝珠に映し出される光景を目にした瞬間、俺は衝動的に宝珠を握った。
「っ!?」
しかし握り込んだ瞬間、映像が霧散する。