三途の川のお茶屋さん
「ははははっ、今度こそ私は落ちるべきところまで落ちるのか。けれど私には似合いだろうよ? ははっ、ははははっ」
懸人さんの乾いた笑い声が、虚しく響く。
そんな懸人さんを、タツ江さんは目を細めて見下ろしていた。
「なぁに、心配おしじゃないよ。ここまで来たらどこまでだって、あたしが付き合ってやるさ? 懸人、今度こそ呪縛から、解き放たれる時さ。魑魅魍魎の跋扈する阿修羅の道にあっちゃ、そんな呪縛に思い悩む間もないだろうからね!」
「! は、ははっ! 阿修羅の道を共に行くと本気で言っているのか? ……タツ江、お前は昔から阿呆だ。いい加減に男を見る目を養え、目を覚ませ」
「なぁに、そんなのは分からんだろう? 阿修羅の道から還った時、お前さんは大化けしているかも知れないじゃないか」
阿修羅の道、それがどれ程の苦難を伴うものなのか、私は知らない。けれど同行を告げるタツ江さんに、悲壮感はなかった。