三途の川のお茶屋さん


夢はいつもここで終わる。

この夢で目覚める朝は、いつも不思議な心地がする。

懐かしいような、切ないような……上手く言葉で言い表せないけれど、心の奥、深いところに訴えてくる。

「何か、伝えたいのかな?」

繰り返し同じ夢を見る時。それは一般的に、何かのメッセージを含んでいると言われている。

「……これは何かのメッセージ?」

私は身を起こし、起き抜けの鈍い頭で考えを巡らせた。

……そういえば、夢の中の私は兄の苦渋の表情を認識してる。なのに不思議と、私は兄の顔の造作を覚えていない。


コンコンッ。


「おい幸子? 起きてるか?」 

ノックと共に、十夜が寝室の扉越しに声を掛けてきた。



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