三途の川のお茶屋さん
十夜の胸から顔を上げて泣き笑いに告げた。
「そうか、俺が泣かせているのか」
そうすれば十夜が、一瞬目を瞠り、次いで蕩けるように笑う。
その笑みのあまりの優しさに、愛おしさが弾ける。
「十夜っ!」
形振りなんて構わなかった。愛しい想いに突き動かされるままに、伸びあがって口付けた。
柔らかに唇を触れ合わせただけの口付けは、すぐに十夜が、嵐みたいな激しさで奪っていった。
「幸子」
「十夜……」
衣服を脱ぐ僅かな時間すら、もどかしく感じた。急く心のまま生まれた姿になって、十夜と二人縺れ合うように寝台に沈む。
心も体も高まっていた。
けれどそれは私だけではないようで、十夜もまた性急に手を這わす。性急なのに触れる手は丁寧で優しくて、大きな手のひらから伝わるのは惜しみない十夜の愛。