三途の川のお茶屋さん
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カラカラカラ。
「ごめんください」
「はーい、いらっしゃいませ」
引き戸が引かれ、今日も『ほほえみ茶屋』は新たなお客様を迎えている。
これはもう三十年、変わらない私の日常だ。
三十年の中で、いくつもの別れがあった。だけど別れだけじゃない。
……私は今、この地で新たな命との出会いを控えている。
数年前、十夜は空白になっていた権天神の位を戴いた。それは事実上、十夜が天界で神威様に継ぐ第二位の神格を認められたという事だ。
けれど十夜が天界の中央で辣腕を揮っているかといえばそうではなく、十夜はいまだ三途の川の管理者として過ごしていた。