三途の川のお茶屋さん


年の頃は二十歳前後、ふわふわ、くるくるとした毛髪に、これまたふわふわとした尻尾を生やした女性は何を隠そう、コマちゃんその人だった。

「コマちゃん、本当に大助かりです。だけどご主人の仁王さんに付いていなくていいんですか?」

そうして動揺冷めやらぬまま始まった面談で、コマちゃんの差し出した履歴書を見て、私は卒倒しそうになった。

コマちゃんは仁王さんのペットなんかじゃない。仁王さんの、奥様だったのだ。

「いいのよ。あたし専業主婦ってタイプじゃないの。それに仁王からのお小遣いじゃ、使うのも遠慮しちゃってダメなの。だから自分でパートして、お給金でトリマーに行ってトリミングやネイルして遊ぶのよ~」

色々とツッコミどころの多い台詞だ。



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