三途の川のお茶屋さん
第二章
1
その日は朝から、十夜の挙動が不審だった。
朝食の席でもチラチラと私を窺っていた。
そうして一緒に『ほほえみ茶屋』へと向かっている今も、時折チラチラと私の表情を窺っている。
「十夜、朝からちょっと変じゃないですか? 一体どうしたっていうんですか?」
ついに我慢も限界に達し、私から口火を切った。
ぴったりと隣を行く十夜の目を、ジッと見上げて問う。
「……幸子、もし店が回らなくなったら俺を呼んでくれ。俺も店を手伝う」
!!
衝撃に、思わずその場で足を止めた。十夜も同時に足を止めた。
店が回らないほどの、お客様……!
「もしかして、大規模災害とかで団体さんが来るという事ですか!?」
一気に表情を暗くした私に、十夜が慌てて首を振った。
「あ、いや! 別にそういうんじゃない!」
「そうですか、よかった」