三途の川のお茶屋さん
私は、京堂幸子。
亡くなったのは二十年前、三十歳の時。
結婚なんて、もうとうに諦めていた。ところがそんなある日、私にも遅い、とても遅い春が訪れた。
切欠は伯母の紹介。親戚の紹介なんて纏まらなければ気まずいし、纏まっても後々煩わしい。とても気が重いまま、初めての顔合わせに向かった。
ところが、一目見て確信した。運命と言うものを私はこの時、初めて信じた。悟志さんに会う為の三十年であったのだと、そう思えた。
私と悟志さんの恋は、瞬く間に燃え上がった。
とんとん拍子に話は進み、半年後の秋に挙式が決まった。けれど初夏の便りが届く頃、私の体に異変が現れ始めた。
仕事と挙式の準備に追われ、疲れが出たのだと、騙し騙しに日々を過ごした。