三途の川のお茶屋さん


テーブルの真ん中に大皿のお団子を置き、二人で煎茶を啜った。

「日中の時間をこんなふうにゆっくり過ごすなんて、いつ振りでしょう」
「私も幸子さんもお互い、年中無休ですからね」

懸人さんが苦笑して答えた。

「年中無休とはいっても、私は懸人さんのお仕事と違って、趣味みたいなものですけどね」
「いえいえ。幸子さんほど尊い仕事など、ありませんよ」

え!?
思わぬ台詞に、ギョッとして固まった。聞き間違いかと思い直して向かいの懸人さんを見れば、懸人さんはニコニコと微笑んでいた。

「私はずっと長い事、死者の魂と向き合ってきました。だから変化を肌で感じています。幸子さんが『ほほえみ茶屋』を開いてから、死者の魂が穏やかな色で輝くんですよ」

魂が、輝く?

いやいや! 

「私はしがないお茶屋ですよ。そんな大層な事、出来ませんよ」



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