三途の川のお茶屋さん





今日も、三途の川は穏やかに凪いでいた。

日に四便の定期運航便もつつがなく出航し、三途の川にはいつも通り、私と十夜の二人だけが残る。

「十夜、お待たせしました」
「ああ、帰るか」

『ほほえみ茶屋』の店じまいを終え、西日を浴びてキラキラと煌く川面を横目に、十夜と二人肩を並べて家路につく。

「ねぇ十夜、よく三途の川って、善人は船で渡れて罪人は深い濁流を進むとか言われてましたけど、実際は全員が船で渡れるんですね」

『ほほえみ茶屋』もそうだけれど、船もまた、規定の料金を定めていない。

持つ者も持たない者も皆、平等に船に乗る。

「死は人の上に平等なんだ」



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