三途の川のお茶屋さん
けれど男の子の人を窺うかのような行動は、染み付いたもののように感じた。
余りにも長い間が空くので、もしかして男の子が言葉を話せないのではないかと、私は本気で心配になった。
「……うん。空いてる」
! 男の子の声を聞いた時、私は心底ホッとしていた。
「そっか。私、お団子屋さんなの。お団子を食べよっか?」
「うん」
「少しだけ待っててね?」
船が出航するタイミングで、店内にちょうどお客様はいない。とはいえ曲がりなりにも飲食店に、悪臭を放つ状態の男の子を入れる事は憚られた。
男の子の見た目は三歳くらいで、体格はとても小さい。
私は大急ぎで厨房に戻ると、大きな盥と石鹸、タオルを抱えて男の子の元に戻った。
「ぼく、お洋服、脱げる?」
男の子はジーっと私を見上げ、コクンと頷いた。
「よしっ、いい子」
その間に私はもう一度厨房に取って返し、両手でバケツ一杯のお湯を持って男の子のところに戻ってきた。
「……っ! さっ、さぁっ、お湯を掛けるよ? ギュッと目を瞑っていてね?」
目に飛び込んだ、汚れ切り、痩せ細った体。