三途の川のお茶屋さん
「どうかした?」
「……なんでも、ない」
カチコチに体を緊張させたまま、女の子はぎこちなく答えた。
「これ、新しいタオルね。まだ髪の毛が濡れているから、これで拭こうね? お団子を用意するから、ちょっとだけ待っていて?」
店内の一番奥、厨房にほど近い席に女の子を座らせると、新しいタオルを手渡す。そうして私は大急ぎで厨房に向かった。
常ならそのまま提供するお団子を、私は串から外し、一度湯通しして、柔らかい状態にした。
三歳にもなれば、普通は硬さなど気にせず大人と同じ物を食べる。
けれど女の子の歯は、一目でそれと分かるくらい、虫歯でガタガタになっていた。大きく欠けた歯や、抜けている歯もあった。
湯気を浴びながら、私は必死に嗚咽を堪えた。
「さぁ、お団子を召し上がれ?」
団子を手に戻れば、女の子は私が出したお団子を、貪るように食べた。
「お団子、美味しい?」