三途の川のお茶屋さん
そうこうしている内に、店内には新たにお客様が来店を始めた。
次の船の出向に向け、続々と来店するお客様を捌きながら、私は女の子からも目を離さない。
途中、気のいいお客様の幾人かが、幼い女の子に話しかけていた。けれど女の子は俯いたまま、それらの声掛けに顔を上げる事はなく、もくもくと団子を頬張っていた。お客様はそんな女の子から、段々と距離を取っていった。
配膳の傍らで女の子に視線をやる。すると団子を一皿平らげた女の子が、目をトロンとさせて、眠たげに目元を擦っているのに気付いた。
「幸子」
そんな時、珍しく営業中の店内に十夜が顔を出した。
「十夜、どうしたんですか?」
「堤防を見回った帰りでな、通り道だから閉店には早いのだが迎えも兼ねて寄ってしまった」