三途の川のお茶屋さん
「本日最終便、まもなく搭乗開始いたしまーす!」
そうして船頭の声を合図に、今度はお客様のお会計が続く。
最後のお客様を見送って、私は店内を見回した。……いや、最後のお客様は別にいる。最後のお客様は、女の子だ。
そうして女の子を目にして、私は驚愕した。
女の子が十夜の膝に抱かれ、笑い声を上げていた。
「お、幸子終わったか? それじゃ、俺達も船に行くか。最後の乗船客はこの子だ、俺達で送っていこう」
私の視線に気付いた十夜が、女の子を抱いたまま立ち上がる。
そうして十夜は、女の子をヒョイッと肩に乗せ上げた。
「わぁっ!」
女の子は目を丸くして、嬉しそうに十夜の頭に抱き付いた。
「こぉら、目を塞いだら前が見えなくて危ないぞ?」
「う、うん」
女の子は終始、笑っていた。