三途の川のお茶屋さん
「ありがと。ばいばい……」
船乗り場に到着し十夜の肩車を下りた女の子は、今は懸人さんに手を引かれている。はにかんだ笑みで、女の子が告げた。
「ばいばい、達者でな」
「ばいばい。よい、船旅を」
けれど「ばいばい」を済ませたはずの女の子は、ジーっと私を見上げ、もじもじとして動こうとしない。
「どうかした? もしかして、おトイレ?」
女の子は、フルフルと、首を横に振った。
「さっきのやつ、して?」
私は最初、女の子の言う「さっきのやつ」に思い至らなかった。
けれど女の子が懸人さんと繋いだ手を解いて、恥ずかしそうに私に向かって手を伸ばすのを見て、すぐに腕に抱き上げた。
「もしかして、これのこと?」