三途の川のお茶屋さん
「……なるほど。よく報せてくれた」
店の外から、窓側の席で団子と煎茶をほっこりと満喫中の異国のお客様を確認すると、十夜は重々しく頷いた。
「十夜、これって当然このままにしていい案件じゃないですよね?」
「あぁ、彼女が三途の川に来てしまった事がそもそも間違っている。ただ、彼女が船に乗る前に気付いた事は不幸中の幸いだ。幸子、俺はあちらの天界に連絡し、彼女の迎えを手配する。すまないが彼女をこのまま店におき、船に乗らないように見ていてくれないか?」
「はい、もちろんです」
私は了承して、店に戻った。十夜は慌ただしく、駆けていった。
カラカラカラ。
「ねぇお嬢さん、この醤油ダレの団子はとても美味しいわね」
店に戻るとすぐ、くだんのお客様が私にニコニコと声を掛けてきた。
「おかわりをお持ちしましょうか?」
「あら! ぜひお願い」
「はい」
この日は幸いお客様が少なく、店内の席にも余裕があった。