三途の川のお茶屋さん
ま、間に合った!!
「懸人さん助かりました!! この船に異国のお客様が誤って乗船してしまっています! その方を下船させていただきたいんです!」
船に辿り着いた私は、経緯を簡潔に懸人さんに告げた。船の定期運航を妨げる訳には行かない。
ここは懸人さんに協力を仰ぐのが、対処としては最も適切だろう。
「えっ!? ……あ、スカーフの女性っ! 幸子さん、ちょっと待っていて下さい!!」
懸人さんはまさかと言った表情をした。けれどすぐに、ハッと気付いた様子で、船内に戻っていった。
「幸子さん! こちらのお客様で間違いない!?」
懸人さんはすぐに、中から一人の女性の腕を引いて戻ってきた。女性は顔の造作を隠すように、深くスカーフを被っていた。
けれど一目で分かった。この女性に間違いない!
「その方です!」
そうして女性は、懸人さんの手で船を下ろされた。