三途の川のお茶屋さん


なるほど! また出逢えたって、幸せになれなければ、それは本末転倒だ。

それはなんとしても彼女の本来の場所から転生を果たして欲しい。

船から下ろせて、本当に良かった!

見れば、女性も同じ事を天使から聞かされたのだろう。女性は納得した様子をしていた。

女性は一言二言天使の少年に告げると、その腕を出た。そうして私に歩み寄ると、躊躇なく私を抱き締めた。

「お嬢さん、なんだか騒がせちゃってごめんなさい。それから、ありがとう。お団子もお茶も、とっても美味しかったわ。さようなら」

頬を寄せて、ポンポンと私の背中を擦る。握手でなく、抱き合っての抱擁がなんとも女性らしい異国風だ。

「私も、お会いできて、色々お話しが出来てよかったです。お達者で、よい旅路を」

私もトントンと抱き返し、微笑んで別れを告げた。

天使の少年とも、会釈を交わす。



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