三途の川のお茶屋さん
第三章
1
季節の変わり目は、お客様が多くなる。
今日も、『ほほえみ茶屋』はご高齢のお客様で満席となっていた。
「おや、満席ですかの?」
暖簾を割り、老爺が店内を見渡した。
「すいません。空くのを待たれますか?」
忙しく配膳しながら、答えた。
「……いや」
老爺は首を横に振った。けれど老爺は店から出ようとはせず、私の手元をジッと見つめていた。
うん? 団子を見てる?
「あの、お団子はテイクアウトも出来ますよ。良かったらお包みしましょうか?」
老爺に水を向けてみた。
「おお! ぜひ頼む!」
老爺は満面の笑みで首を縦に振った。
どうやら老爺は、余程団子が好きらしい。