瑠璃色の涙
-葎side-
呼び名だ。優しい遥には、私に対して怒る対象になる原因が、1つだけある。
滑舌の悪い私は、小さい頃、はるかくんと言えなかった。そのために、はーくんと呼ばせてもらっていたのだけど、どうも遥はそのあだ名が嫌いで、無理矢理遥と呼ばせるようになったんだけど...。実は今でも、たまーに間違えることがある。その度に制裁を受けて来たんだけれども、前回、うっかりはーくんと呼んでしまったせいで、『次はないからね?』と、圧をかけられて。だから今回はもう死ぬ気で制裁を受けるつもりだ。
「あ、あの......遥?」
片手で目だけを覆って、動きが全くない遥に恐る恐る声をかけてみる。
そうすれば、遥は、
「葎。大好きだよ」
と、片手を離し、甘い笑顔で言う。そのまま
「え」
ギシッと、スプリング音が耳に届いた時、私は仰向けになっていて、そこに遥が馬乗りしていた。
「ちょ、ま、はあ?!」
間抜けな声を出したのは私。そんなのに動じず、甘く微笑み続けるのは遥。
これは、あれだ。よく漫画とかであるシチュエーションだ。
「俺ね。そろそろ、制裁を改めようと思うんだ」
待って待って待って。その制裁は意味深なんだけど。
遥は微笑みながら続けた。
「次はーくんって呼んだら、可愛らしい小鳥のさえずりを聴くことになるからね」
滑舌の悪い私は、小さい頃、はるかくんと言えなかった。そのために、はーくんと呼ばせてもらっていたのだけど、どうも遥はそのあだ名が嫌いで、無理矢理遥と呼ばせるようになったんだけど...。実は今でも、たまーに間違えることがある。その度に制裁を受けて来たんだけれども、前回、うっかりはーくんと呼んでしまったせいで、『次はないからね?』と、圧をかけられて。だから今回はもう死ぬ気で制裁を受けるつもりだ。
「あ、あの......遥?」
片手で目だけを覆って、動きが全くない遥に恐る恐る声をかけてみる。
そうすれば、遥は、
「葎。大好きだよ」
と、片手を離し、甘い笑顔で言う。そのまま
「え」
ギシッと、スプリング音が耳に届いた時、私は仰向けになっていて、そこに遥が馬乗りしていた。
「ちょ、ま、はあ?!」
間抜けな声を出したのは私。そんなのに動じず、甘く微笑み続けるのは遥。
これは、あれだ。よく漫画とかであるシチュエーションだ。
「俺ね。そろそろ、制裁を改めようと思うんだ」
待って待って待って。その制裁は意味深なんだけど。
遥は微笑みながら続けた。
「次はーくんって呼んだら、可愛らしい小鳥のさえずりを聴くことになるからね」