瑠璃色の涙
背中をさすってくれた。
まるで、貴重品を扱うかのように。

「...」

私は心から安心したと思う。
証拠に、溜め息が出たから。

「ふ、藤嶺くん、葎...どうしちゃったの...?」

葉那乃は遥のことを藤嶺くんと言う。だから、声を発したのが彼女だと、すぐにわかることができた。

「...今に戻るよ。安心して」

そう言った時、遥は葉那乃じゃなくて、私の方を見たと思う。



「大見!」

直後。先生の声が響き渡った。

「藤嶺、一旦帰れ」

中性な声で遥を私から離す。
でも、

「俺も、葎についてく」

そう言って、多分頭を撫でてくれたんだと思う。

瞬間___。
暗転から、逃れられた。

「.........っは」

喉の奥に何かが詰まったような感覚も消え、今なら声が出せそう。

「はる...」

「吐くぞ!離れろ!」

でも、小さな声はかき消されて。
太い音は耳障りでしかなかった。


やがて、悲鳴に包まれた。




なぜかって?









私が、吐血したから。














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