瑠璃色の涙
「へぁっ?!」

見惚れていた私はびっくりして、思わず変な声を出してしまった。

「はは、そんな驚かなくてもいいじゃん」

心中も知らず、笑い飛ばす。かなり恥ずかしかった。

「...」

分かりやすくぶすくれた私の頭を撫でた、遥。
君はよく、頭を撫でてくれるよね。

「...可愛いってことだよ」

穏やかな声で言い放つ。その言葉は、電流を走らせながら私の胸に落ちていく。体の芯がビリビリと音を立てた。

「っ...」

反動でか、顔が熱くなった。遥はそのまま手を降ろし、私の頬に手を添えたところで降下は終了した。

「ずっと、俺の隣にいてね」

耳元でそう囁いた。熱っぽくて、全てが溶けそうな声色。
そして、優しくキスを落とした。

私は、涙を流していた。それも、温かい涙を。
心から安心したのだ。彼らしいと思ったから。

”好き”でも、”愛してる”でもない。次に繋がる言葉を、欲しい言葉を聞かせてくれる。本当に、この人を好きになって良かった。

時間が過ぎていき、彼は、唇を離そうとした。


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