瑠璃色の涙
そう言うと、遥は振り返り、涙目だと言われる程の潤んだ瞳で、私を捉え、言った。

「葎は、俺と離れる気はある?」

「...は?」

ここまで来て言う台詞か、それは。
そう思ってしまい、は?が出たのだ。

「いやいや、どうしたの、いきなり」

「俺は、葎のことが大好きだよ。小6の1月4日から、ずっと」

...日付まで覚えてるの...?

引き気味でありながら、嬉しくもあった。

「そん時から、葎しか見てなかった。大切で、好き過ぎて、守りた過ぎて、逆に辛かった。でも、楽しかった。相手が、葎だったから。葎の顔見る度、好きになって良かったって思う」

「何...いきなり甘いんですけど...」

「好き過ぎるんだから、甘くなるのも無理はないよ」

「...」


そこで遥は、私の頬を優しく包み込む。

「......遥?」

名前を呼んだのは、彼が切なそうな表情をしていたから。遥はその表情のまま、私の額に、自分の額をコツン、と優しく当て、ゆっくり目を伏せた。

「............怖いんだ」

そう、ポツリと落とした言葉を、私は聞き逃さなかった。




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