瑠璃色の涙
「あ、じゃあ、遥も幸せだよね」

私が幸せならば、遥も幸せだ。何故なら、『私の幸せは遥の幸せ』だからだ。前に自分でそう言っていた。

「...うん。世界一幸せだな、俺」

目を細めて、笑う。そのタイミングで、ザァッ、と、風が私たちの間を通り抜けた。

「遥」

「ん?」

遥に歩み寄る。そのままの勢いで、彼の首に腕を回した。鼻がつくかつかないかの距離まで、顔も寄せた。

「り、葎...?」

赤面しているようだった。160ないぐらいの私と、170ちょっとの彼。彼にとっては、かなりきつい体勢。

中学生までは同じくらいの身長だったのに...。

「......来年の遥の誕生日までに、私、”藤嶺葎”になりたいな」

驚いたような表情で私を見つめる彼。本心を口にするほど、素直なことはないだろう。私は、微笑んだ。それこそ、心臓が有り得ないくらいに打ち鳴っていた。

そのまま私は、彼の唇に、自分の唇を重ねた。そして3秒ほど合わせて、離した。

「......初キス、俺からしたかったのに」

残念そうな顔に、私はくすくすと笑う。

「印象に残るから、いいじゃん」

「...それもそうだな」

そう言うと、今度は遥から、私に唇を重ねてきた。


...長く、重いキス。さすがに苦しくなり、遥の胸を押す。そうしたら、唇は離してくれた。




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