私、花嫁にはなれませんっ!
腕を引っ張られながら、暫く無言で歩いた。

強い力ではないので、腕が痛い訳では無いけど、どうしても気まづい。そして、この男性の名前が知りたい。

「あ、あの…」

『何?どうした?』


男性が立ち止まった。


「な、名前はなんて言うんですか…?」

『山羊 聖、ひじりって呼んでくれて構わない』

「が、学年は…?1年生…?」

『2年。真鍋さんの1つ上だよ。』

「そ、そうですか…。」


じゃあ、絶対に聖さんって呼ばなきゃダメじゃん…。さすがに年上を呼び捨てには出来ないよ…。と裏腹に思ってしまう。

『気になる事あると思うけどさ、中で話すよ。』

「な、中?」

『着いたよ。ここだ』

「え、ここ…?」

いくつもの校舎と校舎を通り抜け、理科室の薬剤が管理されているであろう管理庫の隣に、真っ白なドーム型の温室が雄大に、しかし、ひっそりとたたずんでいた。



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