私、花嫁にはなれませんっ!
ご対面
キイッ…
重たく、古びた鉄の扉を聖先輩がゆっくりと開ける。
立ち込めていた温室内の空気が風圧と伴って、こちら側へ押し寄せてきた。
「わっ、凄い…!何ここ…!」
私の感嘆の声が響いた。視界いっぱいに広がったのは、温室内を多種多様な花達が埋めつくした、まるでパレッドのような景色だった。
『感動してるみたいだね。』
「凄いです…」
こんな景色見たことない。そう思った瞬間、チラリと過去の記憶がよぎった。
前にも1度、こんなパレッドを見たことがあった気がする。
天井はガラスになっており、射し込んだ夕日で、花達はセピア色にも変化する。
「ここ、もっと沢山の人が知れたら良いのに」
何気なく呟くと、
『それは困るかなぁ~俺達の居場所がなくなっちゃうからさ?』
と聖先輩とはまた別の男性の声がどこからか響いてきた。