Love season

お墓の前でみんなは手を合わせている。

みんなは桜さんと何を話しているのだろう。

私には桜さんとの思い出もなければ、会ったことすらない。

だから私は自己紹介と、真先輩との7ヶ月間の出来事を話した。

そして約束通りちゃんと真先輩を幸せにすると。

すると突然優しい風が私の髪を揺らした。

『お願いね、春香ちゃん』

そう誰かが私の耳元で囁いたような気がし。

きっと桜さんだ。

「はい」

私は桜さんに届くようそう元気に返事をした。

「どうしたんだ春香?」

「何がですか?」

「いや、いきなり『はい』って」

「なんでもないですよ」

私はそう言って誤魔化した。

だってこれは桜さんと私の2人だけの秘密なんだから。

「そうか」

「じゃあ、戻ろっか」

「そうだな」

そう言ってみんなは歩き出した。

私はもう一度振り返りお墓に向かってお辞儀をした。

また報告に来ます。

そう約束をして。
< 34 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop