Love season
お墓の前でみんなは手を合わせている。
みんなは桜さんと何を話しているのだろう。
私には桜さんとの思い出もなければ、会ったことすらない。
だから私は自己紹介と、真先輩との7ヶ月間の出来事を話した。
そして約束通りちゃんと真先輩を幸せにすると。
すると突然優しい風が私の髪を揺らした。
『お願いね、春香ちゃん』
そう誰かが私の耳元で囁いたような気がし。
きっと桜さんだ。
「はい」
私は桜さんに届くようそう元気に返事をした。
「どうしたんだ春香?」
「何がですか?」
「いや、いきなり『はい』って」
「なんでもないですよ」
私はそう言って誤魔化した。
だってこれは桜さんと私の2人だけの秘密なんだから。
「そうか」
「じゃあ、戻ろっか」
「そうだな」
そう言ってみんなは歩き出した。
私はもう一度振り返りお墓に向かってお辞儀をした。
また報告に来ます。
そう約束をして。